IE9ピン留め
2009年 12月 24日
寒くて美しい夜に(さむくてうつくしいよるに)
12月の、もっともにぎやかな日。
子ブタのフィーナはしごとをやすんで、一日キッチンにいた。
お昼まえからじゅんびをしていたパンは、日がしずむころにやきあがった。
でも、ほかにもたくさんのパンを、今日はやくのだ。
すっかりくらくなっても。
パンをやいたり、ディナーのじゅんびをしたりと、
フィーナはいそがしくしていた。
すると、シャーリーから電話(でんわ)がかかってきた。

「おそくなってごめんなさいね。
 やっとおしごとが、おわったの、いまから おかをおりて、バスターミナルまでいきます」
フィーナは、レシピをおぼえたばかりの 'ふたござパン'を、すでにやきおえていた。
でも、モロッコパンだけはまだオーブンにいれていない。
今夜(こんや)だけは、「ただいま」の声と同時(どうじ)に、
オーブンからやきあがったパンをだしたいとおもっていた。

 コーンスープ
 マリネ
 タラモサラダ
 チキン
たくさんのおいしいパン
そして、チョコレートケーキ
すべての じゅんびが ととのった時に、またシャーリーから電話(でんわ)がかかってきた。


「いま、バスターミナルでね。お友だちにあえたの。
 もうすぐかえるからね、あと少しまっててね。
 みんなでいっしょにたべましょう。
 でも、どうしてもがまんできなかったら、先にたべててもいいのよ。」

フィーナは、チョコレートをひとかけ口にいれて、
オーブンのまえにいき、パンをやくスイッチをいれた。
きっと たのしくて、あたたかい、しあわせな夜になるとおもった。



May the season bring you the music of laughter, the warmth of friendship, and love.


(さつえいだ!チャーリー 最終章・子ブタ編おわり。
 そして最終回です、今まで見て下さってどうもありがとうございました。)
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# by flower_tea | 2009-12-24 22:25
2009年 12月 20日
クリスマスのまえに
子ぶたのフィーナは、クリスマスというものがよくわかっていなかった。
町のひとびとが、やたらとそわそわしているのは、
一年がおわるからなのか、クリスマスだからなのか、
そしてまた べつのりゆうなのか。

シャーリーは、
「クリスマスもお仕事(しごと)ですよ、でも夜にはかえりますからね」
と、しずかにいった。

シャーリーはここのところ毎日(まいにち)いそがしそうで、あまりあそんでくれない。
夜もはやくにねむってしまう。
シャーリーのためいきには、フィーナもこまってしまう。
くらやみのむこうから、
「だいじょうぶよ、フィーナ、なにもしんぱいはいらないのよ」
と、シャーリーがささやく。
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# by flower_tea | 2009-12-20 22:08
2009年 12月 11日
モロッコパン
子ブタのフィーナは、ピンセット工場(こうじょう)ではたらいている。
火曜日(かようび)と金曜日(きんようび)だけ。
そして、
水曜日(すいようび)は、パン作りをおそわっている。
木曜日(もくようび)は、パン作りをおしえている。
パンの生地(きじ)をこねるときは、夢(ゆめ)でいっぱいだ。
どんなパンになるかな、おいしくやけるかな。
たまに、ごくたまに、おいしくやけないことがある。
おなじレシピで、まちがったはずはないのに。
がっかりしてしまい、そして、おなかが、せつなくなってしまう。
シャーリーがとなりの部屋(へや)で、どたばたとしている。
「CDがないのよ、どこにいったのかしら」
また何かをなくしたらしい。
 いそいでパンをやいてあげないと!
フィーナは少しだけあわててしまう。
おいしいパンがやけますように。
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# by flower_tea | 2009-12-11 23:27
2009年 10月 25日
イベントで
かけねなしに、モロッコパン・フェスティバスは楽しいものだった。
でも、あまりのこんざつに、つかれてしまったのも事実(じじつ)だ。
モロッコパンには、絶対(ぜったい)にこれ、というレシピはない。
それぐらいのことはわかっていたのだけど、
「カカオがたりないよ」
のっぽのショコラティエがいうと、
「そのあまさではシャーベットにもおよびませんよ」
ヒゲをたくわえているグラシエがいう。
「モロッコパンはシンプルさがいのちだ!」
コンィズールがさけぶようにせんげんする。

子ブタは少しばかりうんざりして、会場(かいじょう)のすみにいくと、
ほっそりとしたきれいなパティシエールが、
「あら、おつかれですね、わたしのやいたモロッコパンをどうぞ」
と、さしだしてくれた。
どんな時でも、一口たべればしあわせになれる、
あたりまえのことを思い出させてくれるモロッコパンだった。
モロッコパンは、だれがやいても、どんなレシピでも、おいしいのだ。
だからこそ、モロッコパンなのだ。
雨の日の夜、仕事がいそがしかったシャーリーは、音楽会にいってきた。
オーケストラの第2ヴァイオリンに、知りあいがいて、びっくりした。
3年前まで、同じ図書館でいっしょに働いて(はたらいて)いた人だったから。
お昼休みに、お弁当(おべんとう)を食べながら、音楽のはなしをたくさんした。
いっしょにコンサートにいったことも一度や二度ではなかった。
それなのに、シャーリーはステージにいる彼にまったく気がつかなかった。
帰りのバスでプログラムをみて知ったのだった。
シャーリーはいっしょうけんめいステージの様子を想いだそうとしたけれど、
おぼろげでしかなかった。
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# by flower_tea | 2009-10-25 23:18
2009年 10月 09日
でんわ
子ブタは、パン作りでいそがしかった。
夕ごはんのために、モロッコパンの生地(きじ)をこねていると、
電話(でんわ)のベルがなった。
子ブタはシャーリーだとおもい、受話器(じゅわき)をもちあげた。
すると電話のあいては、
「やあ、こんばんわ。シャーリーはいますか」
とたずねてきた。
聞きおぼえのある声だったので、したしみをこめて鼻をならすと、
「やあ、君かい、元気にしている?、シャーリーはまだもどっていないの?」
と、つづけてきた。
もういちど鼻をならすと、
「伝言をおねがいできるかな、物識りのシャーリーにききたいことがあるんだ、
 どうしてもわからないことがあってね、地図の読み方なんだけど、北北西に進路をとる時に、」
その電話の声は、とてもむずかしいことをたくさんいってきて、
しかもさいごに、
「  というわけなんだけど、シャーリーに伝えてくれますか?」
というので、子ブタは、かなしい鼻のならしかたをした。
「やあ、ごめんごめん、
 じゃあ、チャーリーからでんわがあったことだけつたえてください、またかけます」
受話器をもどして、みっつかぞえるころには、
ふたたびモロッコパンを焼くことに夢中(むちゅう)になっていた。
おいしそうな、あまりにもしあわせなにおいがオーブンからただようころには、
電話のことはすっかりわすれてしまっていた。
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# by flower_tea | 2009-10-09 21:49
2009年 09月 16日
百科事典と国語辞典と英英辞典
子ブタがはたらいているピンセット工場(こうじょう)には、
百科事典さん(ひゃっかじてんさん)というおじさんがいる。
彼(かれ)は、むかし船乗り(ふなのり)で、
世界中(せかいじゅう)の港(みなと)をまわっていたのだそうだ。
「あらゆる港にボクの恋人(こいびと)がいましてね」
が、くちぐせだ。
そしてすぐに、
「それはまちがっていますよ」
とだれにでもいう。
国語辞典さん(こくごじてんさん)は、ベテランのおばさんで、
いつもてきぱきと仕事(しごと)をしている。
「あら、そんな言葉(ことば)はないわよ」
が、くちぐせだ。
この二人はあまりにもたくさんのことを知っていて、
子ブタはいつも口があいたままになってしまう。
でも、ピンセット工場一番のおしゃべりおばさんーおっぱいがメロンパンのように大きいーは、
「あんなやつらのいうことは、隙だらけの正論(すきだらけのせいろん)だよ」
といいながら、子ブタにチョコレートをくれる。
そして、工場のだれとも話あいてになれないのが、
英英辞典(えいえいじてんさん)だ。
彼女は若くて美しい女姓で、ピンセットの説明書(せつめいしょ)を書いている。
彼女のいうことは、いつもさっぱりわからなかった。
子ブタは、英英辞典さんを見るといつもシャーリーのことを思いだしてしまう。
二人はまるでにていないのだけど、なんだか同じにおいがする。
子ブタが鼻をならして近よると、チーズをくれるとこなんてそっくりだ。
どうしていつもチーズを持ち歩いてのかきいてみたら、
とてもていねいに説明(せつめい)してくれたけど、
子ブタにはさっぱりわからなかった。
そして子ブタは、この英英辞典さんが好きだった。
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# by flower_tea | 2009-09-16 08:33


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